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架空綺譚




 冷子はベッドに腰かけると、
「愛してるっいわれても足りないの」
 そう言いながらパンティを下ろして、スカートをたくしあげた。もじゃもじゃの陰毛をかきわけて割れ目をひらいて、充血した肉をみせる。うすぐらい細い穴は呼吸するようにヒクついていた。
「形が欲しいの」
 男は手にした鞄から財布を取りだすと、中に入っている紙幣を残さずくれてやった。

………………
………………

 冷子は辻に立って、道行く男の袖口を引いてよびとめ、そうすることで口に糊をしていた。
 冷子の容姿は目立つほどではない。厚い化粧に阻まれて素顔はわからず、正体不明。夏場だというのに長袖にズボンをはいて、肌の露出は極端にない。それでも冷子には腐った果実のような臭いがあって、買っていく男があとを断ったことはなかった。
 一種の名物となり、通人を称するものならば彼女のことを知らなぬものはなかった。とはいえ、彼女を購うのは行き掛かりの男たち計りで、現実にその良し悪しが出回ったことはない。彼女が辻にでてから、評判記は何度か版を重ねたが、ついぞ彼女の名前をのることはなかった。
 冷子の姿はいつのまにかに消えていた。
 最初に見られたのは夏の初めであり、見えなくなったのは年末のころであった。どこに行ったのか、辻よりも悪い場所にいったのか、小金を稼ぎ終わり故郷に戻ったのか、顛末をしるものはない。多くの笑売女がそうであるように、冷子の行く末もまた言わずもがなということなのだろう。
 年が明けてしばらくすれば、口の端に冷子の名がのぼることもなくなった。


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sadistictorism

使用者:sadistictorism
 
 肥大化した自意識で糖尿病にかかっちまえ!

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