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未来の花嫁

 手元にある資料によれば、今日はクリスマスと呼ばれるらしい。
 なるほど、とボクはつぶやいて、窓の外で繰り広げられる痴態に納得した。そこでは赤い服をきたノースリーブ女が所かまわず男に声をかけて、一人ふたりとホテルに姿を消していくのだ。メイデーと同じで、この日は男女の貞操観念はドブに捨てられる。自由に混じりあう、何人でも誰とでも、たとえ相手が貴種だろうが庶民だろうがお構いなしだ。
 恐ろしい日だ。処女のボクにとって、こんなに身の危険を感じる日もない。
 ボクは一日中家にひきこもり、今日は誰とも会わないようにしよう、と決めた。けれど、家の扉はノックされて、無視すると鍵がこじ開けられた。チャラチャラと音のする金色の鎖のアクセをつけて、髪を茶色にそめた面長の、未知らない男が部屋に入ってきて、
「メリー・クリスマス! いい子には、プレゼントをあげないとね♪」
 といって、ボクをベッドに押したおすと、服をぬがし、全裸にした。ボクは抵抗したけれど、女の子の筋力では男の、彼の細っこい腕にすら敵わなかった。
 なす術はないのか、と諦めたボクは目を閉じて、早く終わってくれ、と願った。すぐに不快感とともに鋭い痛みがして、内蔵が裂けた。ボクは声だけはあげるものか、と歯を食いしばった。歯を噛みあわせること意識を集中して、肌や体の中に熱くて固いものが埋まる感触を思考のそとに追いやった
 時間もわからない。長いようで短く、短いようで長い。主観的な時間は伸縮自在で、ボクは嬲りごろしにされたほうが、ましだと思った。
「ひぎ」
 と、ボクは思わず叫んだ。体の中に熱湯をいれたような感触がして、意識が無理やり現実に引き戻された。目の前に知らない、あの男の顔があって、それが切なげな表情をうかべて、ボクのことを強く抱きしめた。彼が小刻みに震えるのが全身で感じられた。
 少しして、彼はボクから体をはなした。ずるり、と自分の体から何かが抜けおちていく感触がした。彼は、ベッドの上のボクのことを見下ろすと、何もいわずに服を着て、ボクの家を出て行った。
 ボクはベッドで暗い気持ちになりながら、男の去ったあとの玄関の扉を見つめた。
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sadistictorism

使用者:sadistictorism
 
 肥大化した自意識で糖尿病にかかっちまえ!

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