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朝と夜とに挟まれた曖昧

 朝。
 そして、夜。時間はただ過ぎていく。空虚だ、と、つぶやいたところで何も変わりはしない。目をさます、することがないから目を閉じる。夢なのか空想なのか分からない。知性は簡単に混濁する。夢なのか空想なのか分からないけれど、ぼくは狭い道を歩いている。
 蒸し暑い日で、立ち止まると汗が額にういた。下町の迷路のような道に看板がでていて、それは黒板をイーゼルに立てた手書きの看板で、喫茶店の看板で、手書きでメニューが書いてある。今日のケーキは、いちごのタルトだ。ビニルハウスで栽培されている大麻をぼくはミルクセーキに浸しながら食べている。
「麻薬がいいの?」
 と背後に声がして、ふり返るとそこには老婆がいる。しわくちゃの顔で、ボロになった服を羽織っている。服の隙間から見える肌は赤茶けていた。その老婆が、
「麻薬がいいの?」
 と甘ったるい声で、ぼくに聞いてくる。
「紅茶より好きだ」
「試したこともないくせに!」
 老婆は笑いながら、ぼくの傍によってクロスロードの悪魔の話をする。もし、お前が生きていきたいのなら悪魔と取引するしかない、と、老婆はぼくに強くすすめる。うるさくなって、
「悪魔に会わせてくれたら考えますよ」
「目をさましたら、悪魔がチャイムを鳴らす」
 老婆はにやり、とそういって煙のように消えた。確かなものは足で感じる大地だけで、これはきっと夢で、夢のなかの地面はマシュマロみたいで、イーゼルにかけられた黒板に書かれたいちごのタルトの文字はにじみだしている。雨がふる、雨がやむ。くりかえし、くりかえし、くりかえし。空虚だ、と、ぼくはつぶやいて、目を覚ました。
 インターホンが鳴った。
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sadistictorism

使用者:sadistictorism
 
 肥大化した自意識で糖尿病にかかっちまえ!

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