FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

告別式




 同学年の男子の一人が、交通事故で亡くなった。
 その告別式が今日あって、私たちは参列した。その間、私は頭の芯がじわりと熱くなっていくのを感じた。特に、その亡くなった男子と親しかったわけではない。それでも心が落ちつかない。話したことなんて数えるほどだ。式場で、同じ制服を着た私たちは塊まって座っていた。死について、私は始めて向き合ったのかもしれない。
 式が終わり、私たちは来たのと同じように塊まって帰る。仲のいいグループ同士で、式場から駅まで歩いて帰った。距離はそれなりにある。初夏のことで、少し歩くだけで汗が出てきた。
 黙って歩いている。おしゃべりをするのが、とてもいけないことのような気がした。不謹慎という言葉の意味が分かった気がする。それでも暑かった。暑いのは、私がどんな気持ちであろうと変らない。汗がでるのも変らない。じゃあ、と、思ったところで、同じように黙って歩いていた一人が、
「マック寄ろう」
 と言う。目の前に赤い看板がある。
「暑いし、喉乾いたし、冷たいの飲みたい」
 私は我がままな奴だ、と、思った。けれど、他の人たちも彼の提案に賛成で、その一言で緊張の糸を切ったようになり、急におしゃべりが始まった。
 レジに並びながらしゃべり、席に座ってジュースを飲みながらしゃべった。おしゃべりに熱狂していくのを横目に、私は自分用に買った爽健美茶を見つめていた。
何となく買ったそれに口をつける気が起こらない。もう紙のコップには水滴がついている。中には冷たい液体が入っている。芯まで熱くなった身体には堪らないだろう。
 急に肩を叩かれて、ふと顔をあげると、
「どうしたよ」
 と心配する声と顔がある。私は、何でもない、と答えて、場を濁すために自分の爽健美茶を手にして、口に運んだ。吸った。冷たい液体が舌のうえを滑って、喉をさがっていく。内蔵に冷たい感触が広がっていった。
プロフィール

sadistictorism

使用者:sadistictorism
 
 肥大化した自意識で糖尿病にかかっちまえ!

カテゴリ
最新コメント
リンク
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。