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日記に残さなかったこと

夕方の赤く薄ぐらくなった道を歩いている。

「かたわれどき、か」

この町では、夕方のことをそう呼ぶらしい。
糸守町の神社の娘、宮水三葉と入れ替わるようになって何週間が過ぎた。最初は夢だと思っていたそれは、いろいろと考えた結果、ぜんぜん夢ではなかった。
夢ではないのなら、これは現実。三葉の体に入って、あれこれすることは三葉の人生に影響をおよぼす。そう思うと迂闊なことはできない、と緊張するのだが、それも朝の内、夕方頃になると糸守町に旅行に来たような気分になっている。
今日は、いつも一緒に下校している勅使河原と名取とが用事があるとかで別行動で、一人で下校している。
そうすると余計に旅行気分になる。

糸守町は狭い。
というか、糸守湖を囲むように家があって、畑がある。だから、山手線のように右に行こうが、左に行こうが目的地には必ずたどり着くわけで、道を知らなくても迷うことはない。

足を止める。
道はアスファルトで舗装されているが、古くなっていて雑草がところどころから頭を出してひび割れている。その脇から畑に向かうためなのか舗装されていない土の横道がある。
その道のほうをまっすぐと見あげると、宮水神社の境内が見える。その隣が三葉の家だ。境内というか拝殿も大きいが、母屋もそれなりの大きさの家だ。

横道を突っきったほうが近道になるかもしれない。
冒険してみるか、と思ったのはごくごく普通の思考だった。


※ ※ ※


横道には外灯がなく、わずかに木の隙間から夕日が差しこむ程度だ。
足元もよく見えない。
失敗したかな、とふり返るが、入り口がどこかも分からなくなっている。

不安になる。
東京ではあまり嗅ぐことのない濃い草の臭いのせいで、遭難という二文字も頭に浮かぶ。
糸守町は山間にあるせいか東京よりも涼しい。だというのに薄っすらと汗ばんできて、シャツが肌にはりつく感触が気持ちわるい。
もう引き返そう、そう思ったときだ。

「三葉ちゃん?」

そんな声とともに男があらわれる。
日に焼けた肌、筋肉質な腕をして、首に手ぬぐいを下げている。土と腐った草の臭いがする。

「あっと……」

誰? と聞くのはためらわれた。
三葉なら知っている相手かもしれない。名前にちゃんづけで呼んだのだから知り合いかもしれない。三葉はこの町で顔と名前とが知られているから、あまり参考にならないかもしれないが。

「どうした?」

男は訝しげな声で聞いてくる。

「道に迷った、そんな感じです」
「まあ、もう暗くなったしな」
「そうなんです。あの、どっちに行けばいいんでしったけ?」
「途中まで送るよ」

そういって、その男は三葉の手を掴んだ。
野良仕事で硬くなった指先の感触が、三葉の柔らかい肌に食いこむ。背筋が震えて、振りはらおうとするけれど、三葉の筋力では無理だった。

「あの、」
「途中ではぐれたら大変だ。このあたりは獣道もあるからね」

男に引っぱられながら道を進んでいく。
道中の会話はない。というか、何を話していいのか分からない。そうしていると、ふいに男が道を外れて、ヤブのなかに入る。
え? と声をあげる間もなく、地面に押し倒される。
頭のなかが真っ白になる。

「三葉ちゃん、いいよね?」
「え? は?」

男はズボンのファスナーを開いて、中からちんこを引っぱりだす。赤黒いそれは勃起している。

「なんで勃ててんだよ!」
「この道に入ってくるってことは、そういうことでしょ? 宮水神社の人間がどういう意味か知らないわけもないし」
「どういうことだよ?」
「三葉ちゃんとできるなんて」

男は、ははは、と笑いながら、俺のシャツに手を伸ばした。ボタンを外そうとする。その手を掴んで止めるが、まったく敵わない。

「やめろ!」

叫んでも男は中断する気配もない。
第二ボタン、第三ボタンと外されていく。空気が直接、肌に触れる。その冷たさと男の指が肌をなぞる感触にぞっとする。男は、何事かつぶやきながらブラに手を伸ばした。

「着け方がよく分からないんだから外すな!」
「乳首、茶色なんだね」
「知るか!」

男の手がおっぱいを掴む。
むにゅと潰れる。
自分で揉んだときはまったく違う感触。そのまま男は力任せに揉みはじめる。加減の知らないそれは自分でしたときとは違って、単純に痛い。触りつづけたら変な気持ちになりそうとか、そういう気配さえない。

「痛いって、やめろって、おい!」

三葉ちゃん、と男はいって、片手でおっぱいを揉みながら、もう片方の手を三葉のスカートのほうに伸ばしていく。スカートをめくり、パンツの中に指を入れる。陰毛を掻き分けながら指が割れ目のなかに伸びていく。やわらかな肉の合間にささくれだった指の硬い感触がする。

「くそが」
「熱くなってる」

指が股間でうごめく。
割れ目の先端にあるところを執拗に押しつぶす。そのたびに頭の内に真っ白な感触が走る。相変わらずおっぱいは痛い。

全身を動かして男を拒絶する。
でも、三葉の体は小さくて、華奢で、大きな男に組み敷かれると何もできない。どうしようもない無力感に絶望しそうになる。元の自分の体だったら、と思うが、それは東京にいるし、いまは三葉が中に入っている。
時間的にバイト中で、奥寺先輩とホールを走り回っているはず。

「三葉ちゃん、泣いている?」
「うるせえ」
「でも、気持ちよくなるよ。三葉ちゃんも望んでるでしょ?」
「くず」
「実は、みんなにそう言われるんだ」

男はそういって執拗にパンツのなかをいじってくる。
知りたくない、知ってはいけないと思っていた感触が少しずつ頭に染みてくる。自分のもとの体のときでしたのと似ていて異なる感触。それでも、男の指がクリトリスを押すたびに腰が反応する。
気持ちよさを止めることができなくなってくる。

「やめろ! それ以上やめろ! ほんと、やめろ! がっ」

内臓が縮むような感触。
呼吸が止まる。
内臓が落ちるような感触。鈍い痛み、それから股の間に何か粘ついた液体が吐き出される。気持ちよさは退かない。虚脱感は変わらない。全身の筋肉が弛緩する。ずきずきと股間が痛い。

男は、三葉ちゃん、と言いながらパンツを脱がす。足の先からパンツが抜ける。男と距離ができる。最後のチャンス、と思った。体は先に反応して、飛びはねるようにして起きあがる。そのまま、山道を下るように駆けだす。

「ダメだよ」

そんな声が背後から聞こえる。
全力で走る。
でも、遅い。ぜんぜん遅い。思った速度ではしれない。すぐに男が追いついてきて、そのまま押し倒される。倒れた衝撃で息が止まり、もがくように開いた口に土が入る。

腰を男に掴まれる。
下半身に視線が集まっているのが不思議と分かった。股間の、尻のあたりに熱い塊を感じる。それが押しつけられながら尻の穴のあたりに下がっていく。トイレのときに恐るおそる手を触れた箇所で止まる。

「死ね!」

叫んだが、意味はなかった。
ミリ、と体の中で音がした。
裂ける痛みだ。
さっき感じた絞られるような痛みとは違う。癒着した肉が無理やり剥がされる感触、血の滲む痛み。でも、さっきの無理やりのせいで中は湿っているらしい。訳がわからなかった。

「死ね、やめろ!」

内臓を押し拡げながら、男のちんこの先端が三葉の子宮の先端に当たる。それでも男は押しこむのを止めない。子宮が押しあげられる。

「三葉ちゃんの中はせまいね。とっても気持ちいいよ」
「しね」

男は奥まで押しこんだまま動きを止める。
顎を肩に乗せる。三葉の頬に頬ずりする。

「三葉ちゃんは小さいよね。こうやってぎゅっと抱きしめると、ほんと」

下腹部の圧迫感で、もう何も答えることができない。

「出そう」
「は?」

血の気が引くのを感じる。
同時に体の中に入りこんだちんこが痙攣するのを感じる。痛いぐらいに締めつけているせいで、小さな動きでも分かってしまう。

「まて、それはダメだ。ぜったいにダメだ?」
「出ちゃった」

吐気がした。

「やめろよ。この体は三葉の体なんだよ」
「赤ちゃんできたら、ちょっと面倒だね」

こいつ……!
そう思うも、まだ男のちんこは硬いままで、体のなかで動き始める。

「イッたあとにうごくと凄く気持ちいい」

膣は男の精液のせいもあって滑りやすくなっていた。
男は力任せに何度も腰を振った。抜きかけて、奥まで押しもどす。その男のちんこの先で子宮が押しあげられるたび口から息がもれる。ひっ、とか、ぐえ、とか。ぜんぜん色っぽくない。蛙が潰れるときにもらすような声だ。

早く終われ、とそう思うようになっていた。


※ ※ ※


お風呂禁止。
そういう約束だった。でも、いま頭からシャワーを浴びている。

汗を落として、中に出された精液を指で掻きだす。
子宮の中に入ってしまった分をどう出すのか分からなくて、オナニーもした。そうすると粘ったとした液体が出る。何度かして、それっぽいも出なくなったのを確認する。

今日のことは絶対に三葉には言えない。
そう思いながらパジャマに着替えた。制服のシャツとスカートは汚れてしまっている。山で転んだ、ということにしよう。そんな嘘を三葉のスマホに日記として書いた。

布団の上に横になる。
見慣れない三葉の家の天井をしばらく見つめ、まぶたを閉じた。
赤ちゃんはできていませんように、とそんなことを思った。
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sadistictorism

使用者:sadistictorism
 
 肥大化した自意識で糖尿病にかかっちまえ!

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